キューブを解いている時、なんかF2Lで全然先が見えなかったなー、でもなんで見えなかったのかわからないなー、って思うことはよくあると思います。僕もあります。
そんな悩みの多くはソルブ時の情報の不足、もしくは見えている情報をうまく咀嚼できていないためであると僕は思います。ソルブ時に見える面はU, F, R, L面のみなので、B面とD面は他面の情報から予測する必要があります。
見えている情報のみを使ってどのように判断すれば良いのかについて、いくつかの手法とともに詳しく説明していきます。
(以降の解説は標準配色黄色クロスで行います)
F2Lのパーツを見てどのパターンか判断する時、判断基準を1つしか持っていないと判断に困ることがあります。
Scramble: R U R' U' R U2 R'
このF2Lケース、皆さんはどんな判断基準を持っているでしょうか?僕の判断基準は、
といったものです。この基準を頭に入れた上で次のスクランブルを見てみましょう。
Scramble: D' R' U' R U R' U2 R D
URに青赤エッジを見つけてUBLに黄青を含むコーナーを見つけたので、何となくUBLとURがペアなんじゃないかと考えます。そこで先程の判断基準を使うのですが、「エッジ側面の隣接面にあるコーナーステッカー」はB面にあるので確認できません。つまりこのケースは先程の判断基準では判断できないのです。
まあよく考えると2面判断でコーナーを特定できるとか、LUBが青だからBULが青であるはずがなく判断可能、とかで判断できることにはできるんですが、一瞬でこのような判断をすることは難しいですよね。なので、F2Lの判断基準を増やすべきだと僕は思います。このF2Lの場合
「エッジの上面のステッカーとエッジ側面の隣接面にあるコーナーステッカーが同色」
という判断基準しかありませんでしたが、それに加えて
「エッジの上面のステッカーとエッジ側面の対面にあるコーナーステッカーが異色」
という判断基準を加えてみたらどうでしょう。先程のスクランブルでURとLUBは同色なので上記の判断基準に合わず、スロット位置から考えるとこれらはペアではないことが判明します。
このように、F2Lの色判断の判断基準を複数持っておくことで、コーナーが2面しか見えていなくてもF2Lを特定したりそもそもペアではない事を判断したりできます。
Scramble: U' B' R B R' U R' U' R2 U R' U2 R U2 R' U2
FRスロットを揃えたいとしましょう。まず、黄赤緑コーナーはUFLにあるとすぐに気づきます。次に赤緑エッジを探しますが、それらしき候補が2つあります。まずUBエッジはU面が緑であるので候補になります。そしてもう一つ、BRエッジはR面が赤なのでこれも候補になります。さあ、どちらが赤緑エッジでしょう?
この答えは消去法により導けます。緑面のエッジは揃っているDFとFL、候補のUB、そしてFRの白緑エッジが見える位置にありますね。緑面のエッジは4つしかなく、そのうち赤緑エッジ以外の3つは全て見える位置にあります。これらの情報により消去法で、緑の見えているUBエッジは赤緑エッジであると予測ができます。さらに、BRエッジは赤緑エッジでないことがわかり、白赤エッジはURにあるのでこれでもないことがわかるため、消去法によりBRエッジは赤青エッジであることも予測できます。
このように、情報が一部しか見えていなくても他パーツの情報と組み合わせることにより消去法でパーツを予測することが出来ます。
インスペクションで何も考えずに解いているとF2L#1や#2で何も見えなくて止まること、ありますよね。例を見せます。
Scramble: B L' B2 U F D R2 F B2 D B2 D B2 R2 D F2 D2 F2 R2 D L
Solution: y' L' R2 U' F R' // cross
この時点でF2L#1を探そうとします。まずUFRの黄緑橙コーナーの対の緑橙エッジを探しますが、UBとBRはどちらも緑しか見えないのでどちらが正解かわかりません。諦めてUFLの黄緑赤コーナーの対の緑赤エッジを探しますが、同じ理由でUBかBRかわかりません。続いてUFの青赤エッジの対の黄青赤コーナーを探すと、DBRコーナーに黄色が見えますがこの情報だけでは正解の確証が持てません。最後にULの青橙エッジの対の黄青橙コーナーを探すと、UBRコーナーに青橙の2色見えるコーナーが見えます。コーナー2面判断、もしくはEOでの判断によりこのコーナーは黄青橙だと確定でき、F2L#1を回すことができます。
こんな感じで、特に先を読んでいないといつのまにか見える情報だけではパーツを特定しにくい配置になっている場合があります。上記例では最後コーナーの2面判断によりパーツを特定しましたが、それができないのであれば持ち替えるか無駄なUを回すしか判断の方法がありません。
このようなケースに陥っている最大の原因は「前のステップの時点で次のステップを予測していない」ことにあります。この場合前のステップというのはクロスなので、クロスの前のインスペクション時にF2L#1のパーツ配置を先読みしておく、もしくはクロスを解いている最中にF2L#1のパーツを探しておくことが必要になります。
実際にインスペクションでF2L#1を読んでみましょう。y’したところから始めます。クロスを読み終わったあとその解法によってあまり動かないF2Lのコーナーパーツを探します。UFRの黄青橙コーナーは解法のうちのR2とR’でしか動かないのでこれに決めます。次にそれに対応するエッジを探します。ペアとなる青橙エッジはUBにありますが、解法のうちのU’でしか動きません。まとめると、UFRの黄青橙コーナーはR2 R’と動きUBRへ(BURが黄色)、UBの青橙エッジはU’と動きULへ(ULが橙)となり、F2L#1の解法はU' L' U2 L U2 L' U Lとなることが予測できました。
このように、前のステップが終わった後にパーツを探していると情報不足によりパーツが見つからない可能性があります。そのため、F2L#1のパーツを見つけたいならクロスの時点でそのパーツを予測しておき、F2L#2のパーツを見つけたいならF2L#1を解く前もしくは解いている最中にF2L#2のパーツを見つけておくのがベストです。
色々言ってきましたが、本当なら上記のような状態にならないのが一番ベストです。そのために必要なテクニックは「なるべく裏スロットに入れる」です。F2Lの1番目や2番目は裏に入れたほうが良いとはよく言われることですが、その理由としては、もし最初にFRやFLスロットに入れてしまうと見える情報が少なくなり次のF2Lの判断が難しい、または判断不可能になってしまうことがあるためです。
そしてもう一つのアドバイスは「裏面を見ない癖をつける」です。僕自身昔から裏面を見るためにx' xみたいなキューブの回転を多用してきましたが、これをするとキューブの軸がぶれて手順間のつなぎが悪くなってしまいます。世界トップ層を見ても裏面を覗き込むようなソルブをしている人は全く見かけません。裏面を見ず、見える情報だけで判断し、情報が不足していると気づいた時に持ち替えたりUしたりして情報を増やすのが良いのではないかと思います。
まとめるとこんな感じです。
速い人は見える情報だけで判断をし、その中で最適解を見つけてソルブを行っています。限られた情報を最大限に活用してこそタイムが速くなるのではないでしょうか。