M法 解説 (初心者用UFバッファ解法)

目次

 

BLD初心者でも簡単に習得できるUFバッファの初心者用解法を思いついたので紹介します。
基本的に考え方はM2法とほぼ変わりません。そのためM2法を一度理解してからこの記事を読むと理解が深まるかと思います。

(2022/5/16 追記: 手順をわかりやすく一新し、M列手順の説明を追加しました。またFUバッファからUFバッファに変更しました。)

 

解法の説明

M2法は「UBにセットアップ→M2→逆セットアップ」が1文字分の実行です。
M法の場合、

  • 奇数文字目の場合: BUにセットアップ→M'→逆セットアップ
  • 偶数文字目の場合: BUにセットアップ→M→逆セットアップ

が1文字分の実行になります。
セットアップ方法はM2法と全く一緒です。

例を見てみましょう。

Scramble: M U' M' U2 M U' M'

ループはUF(バッファ)->LU->RU->UF(バッファ)となっています。

まずLUを実行しましょう。LUをBUにセットアップするにはL' U' L Uと回します。M2法と同じですね。そしてLUは1文字目のパーツ、つまり奇数文字目なのでM’を回します。最後に逆セットアップであるU' L' U Lを回すと1文字目の実行は終了です。

次にRUを実行します。RUをBUにセットアップするにはR U R' U’と回します。そしてRUは2文字目のパーツ、つまり偶数文字目なのでMを回します。最後に逆セットアップであるU R U' R’を回すと2文字目の実行は終了です。

Solution:
L' U' L U M' U' L' U L // LU
R U R' U' M U R U' R' // RU

奇数文字目でM'、偶数文字目でMと回すこと以外はM2法と全く同じですね。簡単!

 

M列手順

M列パーツはM2法同様、専用手順を使うことになります。
またM列パーツの手順は奇数文字目と偶数文字目で手順が変わり、逆手順となります。この点にも注意してください。

 

例1: M列パーツが奇数文字目である場合

例を見てみましょう。

Scramble: M' U' R U M U' R' U

ループはUF(バッファ)->FD->FR->UF(バッファ)です。

まずは1文字目のFDの実行です。FDはM列パーツであるため専用手順を回します。専用手順は、
「U' S R' F' R S' R' F R U M'」
です。この専用手順はFDステッカーの奇数文字目の手順であることに注意してください。FDステッカーの偶数文字目はこの手順の逆になります。これでFDの実行は終了です。

次に2文字目のFRの実行です。FRをBUにセットアップするためにはx' U' R2 Uと回します。そしてFRは2文字目のパーツなのでMを回します。最後に逆セットアップであるU' R2 U xを回したらFRの実行は終了です。

Solution:
U' S R' F' R S' R' F R U M' // FD
x' U' R2 U M U' R2 U x // FR

 

例2: M列パーツが偶数文字目である場合

もう一つ例をあげます。

Scramble: U' R U M' U' R' U M

ループはUF(バッファ)->FR->FD->UF(バッファ)です。

まずは1文字目のFRの実行です。FRをBUにセットアップするためにはx' U' R2 Uと回します。そしてFRは1文字目のパーツなのでM’を回します。最後に逆セットアップであるU' R2 U xを回したらFRの実行は終了です。

次に2文字目のFDの実行です。FDはM列パーツであるため専用手順を回します。また、このFDは偶数文字目であるので先程の例と手順が異なります。手順は、
「M U' R' F' R S R' F R S' U」
です。これは先程使ったFDの奇数文字目の手順の逆になります。これでFDの実行は終了です。

Solution:
x' U' R2 U M' U' R2 U x // FR
M U' R' F' R S R' F R S' U // FD

 

パリティ処理

パリティがあった場合、M法終了直後はこのような見た目になっています。

コーナー解法にOld Pochmannを使っている場合エッジのパリティはUB-UL交換に帰着させる必要があるため、パリティ手順は以下のようになります。

M L' U' L U M' U' L' U l

コーナー解法にUFRバッファの3-styleを使っている場合エッジのパリティはUF-UR交換に帰着させる必要があります。 この場合は簡単で、最後にURの手順を回せばUF-UR交換となります。

URは必ず偶数番目の手順となるのでパリティ手順(URの手順)は以下になります。

x' U' R U M U' R' U x

 

M法 手順一覧

各ステッカーごとの手順を表にまとめました。

奇数文字目偶数文字目
URx' U' R U M' U' R' U xx' U' R U M U' R' U x
ULx' U L' U' M' U L U' xx' U L' U' M U L U' x
UB(M列)[(M' U')x4 U' (M' U')x3 M'] M'M [(M' U')x4 U' (M' U')x3 M']
FRx' U' R2 U M' U' R2 U xx' U' R2 U M U' R2 U x
FD(M列)U' S R' F' R S' R' F R U M'M U' R' F' R S R' F R S' U
FLx' U L2 U' M' U L2 U' xx' U L2 U' M U L2 U' x
LFU' L' U M' U' L UU' L' U M U' L U
LDU' L2 U M' U' L2 UU' L2 U M U' L2 U
LBU' L U M' U' L' UU' L U M U' L' U
LUL' U' L U M' U' L' U LL' U' L U M U' L' U L
BLx' L' U L U' M' U L' U' L xx' L' U L U' M U L' U' L x
BD(M列)U' S R B R' S' R B' R' U M'M U' R B R' S R B' R' S' U
BRx' R U' R' U M' U' R U R' xx' R U' R' U M U' R U R' x
BU(M列)M'M
RBU R' U' M' U R U'U R' U' M U R U'
RDU R2 U' M' U R2 U'U R2 U' M U R2 U'
RFU R U' M' U R' U'U R U' M U R' U'
RUR U R' U' M' U R U' R'R U R' U' M U R U' R'
DRx' U' R' U M' U' R U xx' U' R' U M U' R U x
DB(M列)U R B R' S R B' R' S' U' M'M U S R B R' S' R B' R' U'
DLx' U L U' M' U L' U' xx' U L U' M U L' U' x
DF(M列)U R' F' R S R' F R S' U' M'M U S R' F' R S' R' F R U'

 

実例

M法の実行の実例を以下のリンクにまとめました。これを見て全体を理解していただけたらと思います。

実例リンク(alg.cubing.net)

 

M列手順を覚えやすくするコツ

M列手順(DF, FD, DB, BD)は奇数番目、、偶数番目の手順も含めると8個もあるため覚えるのが非常に困難に見えます。 しかし、法則をわかってしまえばそこまで難しくはありません。

ここではM法のM列手順における3つの法則について説明します。

1. M列を回すタイミング

M列手順は全てにおいて、奇数文字目なら最後にM'がつき、偶数文字目なら最初にMがつきます。

M'Mを取り払った手順はバッファのUFとヘルパーのBU、そして揃えたいM列ステッカーの3点交換の手順(コミュテーター)となっています。

2. セットアップがUかU’か

M列ステッカーのうち、D面(DF, DB)の手順は必ずセットアップがUとなります。逆セットアップはU’です。

また、側面(FD, BD)の手順は必ずセットアップがU’となります。逆セットアップはUです。

3. 最初にSを回すか否か

行う3点交換の手順は、揃えたいパーツをURにインサートしてからSを回す、もしくはSを回してから揃えたいパーツをURにインサートする、といったものになります。

M列ステッカーのうち、D面(DF, DB)の手順は、奇数文字目ならインサートしてからS、偶数文字目ならSしてからインサートする手順になります。

また、側面(FD, BD)の手順は、奇数文字目ならSしてからインサート、偶数文字目ならインサートしてからSする手順になります。

M列手順の実例

これらの法則を使って実際にM列手順を回していきましょう。

Scramble: U' D' R2 D M D' R2 D M' U

ループはUF(バッファ)->FD->DB->UF(バッファ)です。

まずはFDの手順です。側面ステッカーのため、セットアップはU’です。

また、側面ステッカーで奇数文字目のためSしてからインサートします。インサート手順は、FDパーツをURに入れるためR' F' Rです。

また、奇数文字目のため3点交換が終わったあとにM’を付け足します。

これらを組み合わせると手順は以下の通りになります。

U' S R' F' R S' R' F R U M'

次にDBの手順です。D面ステッカーのため、セットアップはUです。

また、D面ステッカーで偶数文字目のためSしてからインサートします。インサート手順は、DBパーツをURに入れるためR B R’です。

また、奇数文字目のため3点交換を行う前にMを回します。

これらを組み合わせると手順は以下の通りになります。

M U S R B R' S' R B' R' U'

 

理解するのに少し時間がかかりますが、慣れればそこまで難しくはありません。D面ステッカーの場合と側面ステッカーの場合という風に2種類に分類できる、と考えるとわかりやすいと思います。

 

おわりに

UFバッファのそこそこ初心者用解法といったらこれまではOrozco methodが主流でした。しかしOrozcoも偶奇で手順が反対になるとかそもそも40手順くらいのエッジコミュテーターを覚えなければ使えないとか、初心者には少しハードルの高いところがあると思います。

その点このM法は基本的に偶奇で手順は変わらず、M列パーツのみ偶奇で手順が逆になるというM2法そっくりなお手軽解法になっています。Orozcoにちょっと手が出せない人もこのM法ならすんなり理解できるでしょう。

BLDのやり方を覚えて今後もっと速くなりたいという人は、UFバッファに乗り換える第1ステップとしてこのM法を覚えてみてはいかがでしょうか?