7x7カレンダーキューブ製作秘話

目次

 

こんにちは、うえしゅうです。

 

今年のtriboxさんの福袋には7x7のカレンダーキューブが確定で入っています。

このキューブは昔triboxで売られていたが販売終了してしまったものを再デザインしたものになります。

そして実はこのキューブは僕が製作に関わったものでもあります。

今回はこの7x7カレンダーキューブについて、その歴史や反響、構造に関する面白話などを話していこうと思います。

 

7x7カレンダーキューブとは

7x7カレンダーキューブとは、7x7に専用のステッカーを貼りどの月のカレンダーも再現できるようにした万年カレンダーです。

月表記は日本語版であれば「◯月」、英語版であれば「Jan」のような省略形となっています。今回福袋に含まれるのは英語版です。

また、日曜の日付は赤色、土曜は青色の文字になっています。

また、対応していないものとしては以下の通りです。

  • 曜日が月曜始まり(日曜始まりのみ)
  • 祝日の赤色表記
  • 2面以上の同時表示(一度に作れるカレンダーは1面のみ)

 

7x7カレンダーキューブの歴史

7x7カレンダーキューブはアイデアとしては自分ではなく、かなひーさんという方が2014年に発案しました。

かなひーさんはアイデアと設計図のみ公開し、実際に作ることはしませんでした。そしてそのツイートを見た僕が実際に実物を作ったのです。

カッティングシートを買ってきてExcelで設計図を作り印刷して、持っていたShengShou 7x7に貼り付けました。この日めちゃくちゃ没頭していたので、19時から翌日の19時までぶっ通しで製作した記憶があります。

かなひーさんの原案と自分の実物との違いは主に月表記です。かなひーさんの原案では「September」のように省略形を取らず全文字を乗せており、さらにパーツの都合上「Se, p, □, □, t, em, ber」のように文字が離れたデザインになっていました。これはどうにかして見栄え良くしたいなと思ったのですが、結局僕は日本語の◯月表記にすることで見栄えを解決しました。

ちなみに当時製作した際のメモが残っているので載せておきます。

7x7カレンダーキューブを製作して公開し少し経ったあと、triboxさんからぜひ商品化したいという連絡をいただきました。triboxさんとのやり取りの中で僕が実際に送ったのは完全な設計図ではなく「このエッジパーツはこの文字とこの文字の組み合わせ」といったパーツの組み合わせ表のみで、設計図自体はtriboxさんに作ってもらいました。またフォントデザインもいい感じにしていただきました(実はこれが重要)。

そして満を持して発売。

その後、英語版も作りたいという要望を受け、月表記を省略形にして製作しこちらも発売に至りました。

7x7カレンダーキューブは結構反響があったようで、周りの知り合いにも持っている人が結構いたりします。

また、定期的に月初に今月のカレンダーをTwitterに上げてくださる人もいて、とても嬉しく思います。

ここで当時の小ネタを1つ。

7x7カレンダーキューブは単体では10000円でしたが、ステッカーのみの販売もしておりこちらは2000円でした。また7x7カレンダーキューブはステッカーの大きさの都合上、素体がShengShou 7x7限定となっていました。7x7カレンダーキューブが発売された2015年頃、競技用7x7はShengShou 7x7とShengShou 7x7 miniがあり、今まで大きめのShengShou 7x7を使っていた人たちが新発売のShengShou 7x7 miniにちょうど移行中の時期でした。そのため今まで使っていたShengShou 7x7が必要なくなり、7x7カレンダーキューブのステッカーだけ買って手持ちのShengShou 7x7に貼る人が続出した、というお話です。

2015年に7x7カレンダーキューブが発売されて数年は販売されていましたが、確か2019年頃には販売終了していた記憶があります。それ以降も7x7カレンダーキューブを買いたい人はいつつも販売が再開されないという状況が続いていました。

そんな中、今年の初め頃にtriboxさんから「7x7カレンダーキューブを再デザインして福袋に入れたいので手伝ってほしい」というご依頼を受け、デザインに関するいろいろな議論をしつつ、ついに2024年の12月に福袋限定として再販されることになりました!

 

7x7カレンダーキューブのすごいポイント

6と9

7x7カレンダーキューブですが、よくよく考えると実現は不可能ではないか?と疑問を抱いている人もいることでしょう。

まず全てのカレンダーを表現するには、1日が日曜から始まるもの、月曜から始まるもの、・・・、土曜から始まるもの、の7種類の盤面が必要になります。これら全てを表現するためには少なくとも7面が必要ですよね。しかし7x7にはセンターパーツが6個しかないため、7面を表現することはこのままでは不可能です。

ここで上の図より、センターパーツに入りうる日付を見てみましょう。入りうる日付は以下の通りです。

5, 6, 7, 8, 9, 10, 11

もうお気づきでしょうか。

実はセンターパーツに入りうる日付の中に6と9があり、これらはフォントを工夫することで上下反転により共用が可能なのです!

最初に原案を見てこのアイデアに気づいたときは感動しました。流石にこれは偶然が過ぎますね。

ちなみに実は真ん中のセンターだけではなく、その隣の+センターも6と9が1種類しかなく共用することで成り立っています。外側に行けば行くほど空きパーツが多いので余裕があるのですが、真ん中に近い内側のパーツはほとんどに数字が埋まっており、こうやって共用しないと成立しないんですよね。

上から4番目、左から3番目の+センターに入りうる日付は、

4, 5, 6, 7, 8, 9, 10

上から4番目、右から3番目の+センターに入りうる日付は、

6, 7, 8, 9, 10, 11, 12

奇跡的にどちらにも6と9が入っていて助かりました。

 

2月と30日、4月と31日

次に、これはあまり知られていないことですが、コーナーにも仕掛けがあります。

2月は28日もしくは29日まであり、30日は存在しません。これを利用して、2月のコーナー(日本語版では2、英語版ではFe)と同じパーツの別側面には30日と23/30を当てはめています。こうすることで、2月を作る時に絶対に30日が入らないようになっています。

また同様に、4月には31日は存在しません。これを利用して、4月のコーナー(日本語版では4、英語版ではAp)と同じパーツの別側面には31日と24/31を当てはめています。

コーナーはセンターとは違い3ステッカーがくっついた存在なので、作るうえで制約がとても大きいです。そのため、このようなテクニックを駆使することでギリギリ成り立った感じです。

実際に実物や展開図を見てもらえるとわかりますが、コーナーの空きステッカーは3つしかありません。コーナーの空きステッカーが最も多いカレンダーのパターンはうるう年なしの2月で日曜始まりの場合で、右上、右下、左下の計3つが空きます。つまり空きステッカー3つというのはカレンダーキューブ製作において必須条件であり、それ以外のコーナー全てに文字が振られていることを考えるとコーナーのギリギリ感が伝わるかと思います。

 

文字をどこで切るか

日本語版では「1, 月」や「1, 2, 月」のように切れ目が明確に決まっています。しかし英語版では切れ目が決まっていません。

英語の月表記の省略形を見て、それぞれをどう切ればこのキューブが成り立つかを考えました。このパートが一番考えたパートかも知れません。

結果はこうなりました。

J, a, n
Fe, b
Ma, r
Ap, r
Ma, y
J, u, n
J, u, l
Au, g
Se, p
Oc, t
No, v
De, c

共用しているのは以下の通りです。

  • Jan, Jun, JulのJ
  • JanとJunのn
  • JunとJulのu
  • MarとMayのMa
  • MarとAprのr

ギリギリでしたがなんとかパーツが足りました。制作途中に何度も「これ無理じゃね?」と思いながらやっていましたが、最終的に完成できたのは奇跡だと思います。ギリギリ作れるようにできたのも神の思し召しなのかもしれません。

 

おわりに

7x7カレンダーキューブにまつわる話を色々してきました。

7x7カレンダーキューブは遊ぶのも楽しいですが、製作者観点から言うと作っているときが一番楽しかったです。

福袋の7x7カレンダーキューブが届いた方はぜひ毎月揃えてみてください。7x7カレンダーキューブの画像がTwitterに流れてくるのを見るのが製作者として一番幸せな時間です。

時期は決まっていませんが単体販売もあるようなので、もし欲しい方はそちらもチェックしていただけると幸いです。

 

それでは。