こんにちは、うえしゅうです。
FMCの解法であるDRは初心者にとっては難しい部分が多く、特にRZPからDRを作るパートは手順があるわけでもなく経験によるところが大きいのでつまづく人が多いです。
今回はRZPからDRを作る例を自分の過去のDR回答の中から抜粋して5つ紹介し、、どのようにその思考に至ったかを解説します。
DR初心者の参考になれば幸いです。
DRトリガーとは、回すことでDRが完成する特定の手順のことを指します。
一般に使われるDRトリガーは次の4つです。
DRでは、EOが完成したあとどうにか頑張ってDRトリガーの配置に持っていき、DRトリガーを回すことでDRが完成します。
やってみるとわかりますが、EO完成からDRトリガーの配置に持っていくのはとても難しいです。
そのため、まずはDRにおけるbad edgeの個数とCOの個数をDRトリガーと同じになるよう調整をし、その後にその個数を変えずにDRトリガーにセットアップする手法が主に用いられています。
この「EOから上記個数をDRトリガーと同じになるようにするまで」のステップをRZPと呼びます。
RZPの手数はEOの手数によって変える必要があり、EO+RZPが5手以下もしくは6手以下(初心者の場合6手以下が推奨)となるようRZPの手数を決めます。
各DRトリガーのbad edgeの個数とCOの個数は以下のようになっており、EO後はまず数手でこの個数を目指します。
DRトリガー | bad edgeの個数 | COの個数 | RZPの呼び方 |
---|---|---|---|
R | 4個 | 4個 | DR-4e4c |
R U2 R | 2個 | 4個 | DR-2e4c |
R U R | 2個 | 3個 | DR-2e3c |
R U' R | 2個 | 3個 | DR-2e3c |
DRを作るうえで重要なのが、DR観点で見たときのブロックを認識することです。
例を見てみましょう。
Scramble: F' D' R' U' F D2 F2 L' R2 D2 R' D2 U2 F' L D F' D2 F D2 L D2 U F' R' U' F L2 F D2 L
FB軸EOが揃い、UD面がDR-4e4cのRZPとなっています。
UB-UBLにbad edgeとCOが並んでいますがbad edgeに対してCOが同じ方向を向いています。
このbad edgeとCOのペアを「DRペア」と個人的に呼んでいます。
また、DBL-DB-DBRには上記のDRペアが2つ連なって配置しています。
このCO-bad edge-COの並びを「DRバー」と個人的に呼んでいます。
基本的にこのDRペア、DRバーを多く作りにいくのがDR作成の基本となってきます。
Scramble: F' D' R' U' F D2 F2 L' R2 D2 R' D2 U2 F' L D F' D2 F D2 L D2 U F' R' U' F L2 F D2 L'
FB軸EOが揃い、UD面がDR-4e4cのRZPとなっています。また、UB-UBLとDB-DBRにDRペアがあります。
UB-UBLのDRペアをDRバーに拡張したいのでD L2としてみます。するとU面にDRバーとDRペアが直角で配置する形になりました。これはとてもいい形です。
しかし注意すべきは、この直角の形の場合E列のbad edge2つのUD面色が同じ面を向いてはならない、という点です。
DR-4e4cのRZPであるRというのはDRバー2つとE列のbad edge2つで構成されており、E列のbad edge2つはUD面色が対面に来ています。2つのUD面色が同じ面を向いている場合、それらを対面にしようとするとR2 F2のように2 Half Turn必要になるのです。つまり2つのUD面色が同じ面を向いている状態はDRから遠い状態と捉えてもらえればOKです。
さて、D L2とするとDRバー、ペアの位置はいいがbad edgeの配置が悪くなりました。しかしそうせずにU B2とするとどうでしょう。U面は同じくDRバー、ペアの位置が直角になり、E列のbad edge2つはUD面色が対面となりDR状態に近くなりました。
U B2はつまりDw L2と同義であり、D L2とほぼ一緒の働きをするがE列の配置だけ変わる、ということです。E列の配置を変えたかったら二層回しを使ってUをDに変えてみましょう。
最後の仕上げとしてDRペアをDRバーに拡張します。U' B2とD' R2の2通りありますが、D' R2であればE列のbad edgeが対面のままなのでこちらを採用します。
最後にUをすればDRトリガーの配置になり、RをしてDR完成です。
Solution: U B2 D' R2 U R
Scramble: B' L' F' D' R' U' F D2 B' D R' L' F' U' B' L U2 L2 F R2 B' R2 D2 F2 B U2 L2 U2 R' U' F U
FB軸EOが揃い、RL面がDR-4e4cのRZPとなっています。また、UR-UFRとFR-DFRにDRペアがあります。
2つのDRペアがこのようにJpermのように隣接して並んでいる状態はDRに近くてとてもいい状態です。
まずB2でDRバーを作ります。次にU2でもう1つDRバーを作ります。これでDRバーが2つでき、残りはM列を並べるだけです。
しかしM列を見るとbad edgeがUBとDFで対角の配置にあります。これはよろしくない。
こういう場合、良い解決策があります。まずR’してDRバーを対角の位置に置きます。続いてF2をしてみます。するとDRバーは保存されたままM列の配置だけが変わり、M列のbad edgeが対面の位置に変わりました。最後にR2してDRトリガーの配置に持っていき、UでDR完成です。
このように、DRバー2つあり中列のbad edgeが対角にある場合はよくあるので覚えておくと便利です。
Solution: B2 U2 R' F2 R2 U
Scramble: F' R B' D L F' U R B2 U2 R' B2 U2 F2 L2 U2 R' D2 B2 R2 F' U2 F2 L F' U' R2 D' F' U R
RL軸EOが揃い、UD面がDR-4e4cのRZPとなっています。また、UF-UFRにDRペアがあります。
まずはL2でDRバーを作ります。
続いて残りのU面エッジに2つのコーナーをくっつけるのですが、方法が3通りありますね。DFLコーナーをくっつけるF2と、DBRコーナーをくっつけるU R2もしくはD B2です。
F2をするとDRペアはできますが、DBRコーナーのCO向きがD面のDRバーと同じ方向になってしまいます。基本的にDR-4e4cにおいて、COが同じ方向を向いている状態はとても悪いです。
そのためDBRコーナーをくっつけてみましょう。U R2をするとDRバーとペアの直角はできるもののE列のbad edgeが同じ方向を向いてしまっています。これは悪い状態でしたね。そのためU R2ではなくD B2とすることでE列を調整します。
次にもう一つのDRバーをU' R2で作り(D' F2ではない!)、DしてDRトリガーの形にしてBでDR完了です。
Solution: L2 D B2 U' R2 D B
次はDR-2e4cを解説します。
Scramble: R' U' F D2 B L2 U2 L2 F U2 B' D2 B2 L2 B U B' R D U' B U' B' D2 R' U' F D R2 D2 B
FB軸EOが揃い、RL面がDR-2e4cのRZPとなっています。また、DRペアはありません。
DRペアはないものの、UFRとDFRにCOが対面を向いているコーナーがあり、間にbad edgeを入れればDRバーになります。DR-2e4cはDRバー1つとCO2つで構成されているので、このDRバーを作りに行きましょう。
U2 D2でDRバーが完成します。
続いて、UFRとDFRにCOが同じ向きのコーナーがあります。先ほどDR-4e4cでは同じ向きのCOはbadケースだと話しましたが、DR-2e4cでは逆にgoodケースです。なぜならDRトリガーであるR U2 R’の状態とはDRバーの隣りにあるCOがDRバーと同じ方向を向いているからです。
L F2してDRバーの横に同じ向きのCOを置いてみましょう。これですでにDRトリガーの形になっています。あとはDRトリガーのU' F2 Uを回せばDRが完成します。
Solution: U2 D2 L F2 U' F2 U
最後にDR-2e3cを解説します。
Scramble: R' U' F L' D2 U' B2 D B2 L2 U R2 U' R2 F D' F2 L2 F2 D R B F R' U' F2 U R2 B' U L
FB軸EOが揃い、UD面がDR-2e3cのRZPとなっています。また、DRペアはありません。
DR-2e3cはトリガーがR U RとR U' Rの2種類ありますが、どちらもDRペアが1つあるためまずはDRペアを作りにいきます。D' R2もしくはU' B2でDRペアができますね。
とりあえずD' R2をしてみましょうか。この状態、コーナー3つはとてもいい配置なのですがE列のbad edgeがよくありません。R U' R’というDRトリガーを見てみるとわかりますが、最初のRでE列エッジをU面に上げていて、その時DRペアは動いていません。さて、今の状態を見てみましょう。UB-UBRのDRペアを動かさないままE列エッジをU面に上げるにはE列エッジがBLになければならないですが、残念ながらE列エッジはBRにあります。ということでD' R2は諦めましょう。
続いてU' B2を見てみます。E列エッジはFRにありますね。E列エッジとCOパーツを合わせるようにU' D2としてみると、DRトリガーの形になりました!R U' RでDRが完成します。
DR-2e3cはセットアップに少しコツが要りますが、使うトリガーがF2LっぽいものなのでF2Lの感覚を意識するといいかもしれません。
Solution: U' B2 U' D2 R U' R
Scramble: L' B2 R' U' F L' D2 U' B2 D B2 L2 U R2 U' R2 F D' F2 L2 F2 D R B F R' U' F D' R' F U
RL軸EOが揃い、FB面がDR-4e4cのRZPとなっています。また、DRペアはありません。
DR-4e4cでDRペアが1つもない場合、絶対にそのRZPは捨てましょう。DRまでが遠すぎます。これも見た瞬間に捨てです。
一応DRペアが1つもない場合でもF2 B2 R
といったような短いパターンが稀に存在するのですが、初心者はあまり気にしなくていいと思います。
また、UFL-UF-UFRにCO2つとbad edgeが並んでいますが、この配置も見た瞬間にRZP捨てでいいと思います。bad edgeにCOが変な方向にくっついているし、CO2つが同じ方向を向いているのはDR-4e4cではbadだとすでにお教えしました。
RZPは、捨てかどうかをいかに早く見極めるかがDRのコツです。
RZPからDRへの解法を5つ解説してきました。
手順という手順はないものの、考え方や見るべきポイントはこれを読めばある程度身につくとは思います。
RZPからDRというのはいわゆる3でいうクロスのようなもので、手順はないが考え方はある、といったステップです。DRを練習すればするほど身につくと思います。
来月には日本で久々のFMC大会があります。これを読んでDRを習得し、大会て使ってもらえたらとても嬉しいです。
それでは。