自分のFMCの取り組み方 2025年版

目次

 

この記事はSpeedcubing Advent Calendar 2025 3日目の記事です。2日目の記事は佐村健人さんの「キューブの「先読み」について」でした。4日目の記事はShotaさんのFMC同値変形学入門2です。

 

こんにちは、うえしゅうです。

今年はFMCのmean PRを24.00から22.00へと大幅更新したり2度目の公式19手を出したりと、FMCで大きく成長できた年でした。

FMCの各パートにおける取り組み方も色々試行錯誤してきましたが、ようやく固まりつつあります。

今回はその取り組み方やtipsなどを一つ一つ説明していきます。

注意点として、今回紹介する取り組み方は自分のやり方というだけで、これが必ず正しいというわけではありません。他のやり方を取っているFMCerもたくさんいます。あくまで一意見として捉えておいてください。

 

探索全般

探索全般において、自分はキューブを前の状態に戻す時は解法の逆を回して戻しています。例えば、EO→RZP→DRと作ってまたEO状態に戻る際は、DR解法の逆→RZP解法の逆、と回してEO状態に戻します。

ある程度解き進めた後戻す時に解法の逆を回すのか一旦CFOPで完成させてからスクランブルし直すかはトップ層でも意見が分かれるところなのですが、前にChong Wenの試技動画を見た時に必ず解法の逆を回していたので自分はそれに従っています。

また、解法の逆を回すにあたって2,3手なら書かなくても回せると思うのですが、7手くらい回してDRを作った後戻すとなると解法をメモってないとほぼ確実に戻せません。そのため、自分は作った全てのRZPやDRをメモしておき、解法の逆を回す時はそのメモを元に逆再生して戻しています。

 

キューブの使い方

FMCではキューブを3つ使えますが、自分は3つのキューブをそれぞれ以下の用途で使います。

  • キューブ1: メイン探索用
  • キューブ2: RZPのNISS探索用
  • キューブ3: インバーススクランブル確認用

まず試技が始まると、キューブ1をノーマルスクランブルで崩し展開図と照らし合わせて合ってるか確認します。次にキューブ3をインバーススクランブルで崩してキューブ1と照らし合わせて合ってそうか確認します。EOやCOが同じ位置にあるか確認するのがわかりやすいですね。

そして、キューブ1でノーマルのEOを探索しキューブ3でインバースのEOを探索した後は、キューブ3はこれ以降一切触りません。キューブ1でインバーススクランブルを使って探索を行い手順を戻した時に、初期状態が正しいかどうかを判別するためだけにキューブ3を使います。FMCは途中で回しミスったまま進むと取り返しがつかなくなるので、適宜状態チェックをするのが重要です。

EO探索後はキューブ1を使ってノーマルのEOを書いた順に探索します。EOの手数が短い順に探索する人も多いですが、自分は書いたEOを全て時間内に見きれる自信があるので基本的には書いた順で見ます。順番としては、ノーマルのEO→インバースのEO→NISS EOの順番で見ます。例外として、ノーマルには4手EOが少ないがインバースには4手EOや3手EOがたくさんある時は、キューブ1を一旦戻してからインバーススクランブルで崩してインバースのEOから見始めます。

キューブ1でRZP探索を行い、見つけたRZPのARM+Pairs(後述)が良ければその場でRZPのスイッチを行います。RZPのスイッチはRZP全探索後にまとめて行う人も多いですが、自分はその場で行う派です。まとめて最後にスイッチする場合はDR探索の最初のうちはDRが少なく最後のまとめてスイッチでDRが大量にできる傾向にありますが、その場でスイッチの場合はDR探索の早い時間でDRを確保できやすいというメリットがあります。

そして、ここで活躍するのがキューブ2です。キューブ1はメイン探索用、キューブ3はインバーススクランブル確認用に使っているのに対し、キューブ2はまだ何にも使われていません。このキューブ2をRZPのスイッチに使うのです。キューブ2でRZPをスイッチし状態を確認して、DRを作れるなら作り、一通りの作業が終わったらキューブ2を完成状態に戻して作業終了です。

 

EO

5手EOを書くかの判断

5手EOを書くかどうかの判断は上級者でも割とバラバラだと思います。例えば、ノーマルFB軸EO→RL軸EO→UD軸EO→インバースFB軸EO→RL軸EO→UD軸EO、の順番で見た場合、5手EOをたくさん書いてたのに最後のインバースUD軸EOに4手EOが大量にあって5手EOたくさん書く意味なかったやん…となってしまうことも多いです。

自分の5手EOを書くかどうかの判断基準は以下の通りです。

  • ノーマルで各軸のEOの数だけ見る
    • 4EOの軸がなければ5手EOを書く
    • 4EOの軸がある場合
      • その軸のみノーマルとインバースでEOパーツ配置を見て、4手EOがたくさんある配置なら5手EOは書かない
      • 4手EOが少ない or ない配置なら5手EOを書く

(一応補足ですが、その軸で5手EOを書く/書かないという話ではなく、その試技全体で5手EOを書く/書かないという意味です。)

4手EOがたくさんあるなら5手EOは書く意味があまりないのですが、4手EOがたくさんあるかどうかというのをEOカウントにより概算するというわけです。

また、自分は基本的にはFB軸EO→RL軸EO→UD軸EOの順でEOを書くのですが、4手EOがRL軸EOやUD軸EOに複数ある場合は先にそっちの軸のEOから書いて4手EOが何個くらいになるか把握してからその後のEOを書きます。もし4手EOが5個とかしかなくて意外と少ないな…となったらそれ以降5手EOを書こうと切り替えることもできるからです。(パーツ配置見て4手EOの数が一瞬でわかるなら別にいらないテクニックかも)

 

8EOの難しい5手EOの探し方

8EOで最後F U BやF Bで終わるようなEO手順は見つけるのが結構難しいです。EOパーツが多く、セットアップを考えにくいからです。

しかし、そのような5手EOをとても簡単に見つけられる方法を思いついたので共有します。

スクランブル: R' U' F U' R2 D' R2 U F2 D' L2 D2 L2 F2 L2 R D F' L2 B2 F2 R' D' B R' U' F

FB軸が8EOとなっています。

まず、badパーツ8個ではなくgoodパーツ4個の位置を確認します。今回だとUF, UL, FL, BRでした。

この4パーツのうち、4個をS列に置けばF Bの形になり、3個をS列に置けばF U Bの形になりうるのです!

それぞれ実際にやっていきましょう。

F Bパターン

まずF2するとFR-BRが対面に並びDFにgoodパーツが並びます。次にD’するとUL-DLがS列に対面に並び、FR-BRは対面のままです。最後にR or R’すると全てのgoodパーツがS列に置かれるので、F Bが可能になります。

EO手順:
F2 D' R F B
F2 D' R' F B

F U Bパターン

まずF2するとFR-BRが対面に並びDFにgoodパーツが並びます。次にR or R’するとUL-UR-DRがS列に入り、DFのみがS列ではありません。F U Bパターンの3手EOのgoodパーツの配置は「S列に3つgoodパーツがあり、残りの1パーツがS列のbadパーツの位置へ1手で持っていける場所」と定義できるため、現在のgoodパーツの配置 UL-UR-DR-DFはそれに合致します。ここからB D F or B' D FでEOが完成します。

EO手順:
F2 R B D F
F2 R B' D F
F2 R' B D F
F2 R' B' D F

S列に3個以上goodパーツを持っていく、ということさえ覚えれば本当にあっさりとこのパターンのEOを見つけることができます。badパーツを基準に考えてしまうと考えることが多すぎてわけがわからなくなってしまいますが、goodパーツの4個だけであれば意外と独立して動いてくれるためシンプルに考えやすいんですね。

この手法はつい先日(12/1)に思いついたので、急遽この記事に追加しました。

 

DR

探索のしきい値を上げる

DR探索では基本的には12手以下のDRを探索します。ただ、もし例えば11手の良いsubsetのDRが複数見つかっていた場合はもう12手のDRを作る必要はないため、12手になりそうなDRは書かずに先に進めます。このように、見つかっているDRの状態によっては探索のしきい値を上げていくことも重要です。

 

ARM+Pairs

最近始めた取り組みとして、RZPのスイッチ判断にARM+Pairsを使うというものがあります。これは、従来のARMに加えてスイッチ後のペアの個数を加味してスイッチするかどうかを決めるといった方法です。

以下のdocsに詳細がまとめられています。

Hitchhiker’s Guide to DR

スイッチ後のペアの個数の予測方法は以下を参照してください。思ったより全然難しくないです。

【FMC】ペアトレースのやり方 - ナナシ

スイッチ基準は以下の通りになります。2桁の数字はそれぞれAR-XcYeを表します。

DR-4c4e

  • 3,4 pairs: always
  • 2 pairs: 10, 11, 20, 21, 31, 32, 42
  • 1 pair: 21
  • 0 pair: 42

DR-4c2e

  • 2 pairs: always
  • 1 pair: 10, 11, 21, 31, 41
  • 0 pair: never

DR-7c8e

  • 5,6 pairs: always
  • 4 pairs: 21, 31, 43
  • less: never

元々ARM判断ではスイッチ後のsub7 DRの確率が20%台だったのですが、上記基準であればsub7 DRの確率は30%台になるようです。

 

HTR

HTR探索について、自分は「浅い探索・深い探索・より深い探索」というものを定義しています。これらを少し説明します。

浅い探索

浅い探索とは、見つけたDRに対してスイッチをせずにHTRをなるべく多く作ることです。スイッチを行わないため超短時間で行えます。

深い探索

深い探索とは、スイッチやインバースなどを駆使してHTR探索を行うが、HTRが長くなりそうなルートは見ない、という探索方法です。具体的には以下の通りです。

  • ノーマルとインバースそれぞれでsub10 HTRをなるべく多く作る
  • ノーマルとインバースそれぞれで1HT + QTでスイッチできるものを書き連ね、スイッチする(1HTでは無理なら2HT)
  • 2HT以上 + QTでのスイッチはしない

より深い探索

より深い探索とは、上記の深い探索で見ていない2HT以上 + QTでのスイッチなどHTRが長くなりそうなルートも見る探索方法です。

 

これらの探索方法のうち、「深い探索」をHTR探索では重要視します。

常時sub23を目指すためには見つけたDRのうち複数個をHTR探索して良いLSを見つける必要があるのですが、HTR探索が20分強しかないと考えると1つのDRに20分もかけていられません。つまり「より深い探索」はできないのです。そのため、探索範囲としては深い探索でとどめておいて、もしそれで良い手数のLSが見つからなかったらそのDRはoptimalを見つけるのが難しいDRだったということで次のDRに移ればいいのです。

深い探索では各subsetごとに探索パターンも事前に決めておいて探索をシステム化したほうが効率がいいです。例えば4b2 4eなら自分は以下のように決めています。

  • U R2 F2 Uトリガーに持ち込めるか確認
  • 1HT + QTで4a1 4eにする
  • 1HT + QTで2c3にし、2c3トリガーに持ち込む
  • 1HT + QTで2c3にし、スイッチ

ちなみに浅い探索についてですが、自分はDR発見直後にそのDRが良手数かつ良subsetならその場で浅い探索をしています。具体的には、sub12かつ0c0, 4a1 4e, 4a2 4e, 4b2 2e, 2c3 2e, 2c3 4eであれば浅い探索を行います。

浅い探索を行うメリットとして、簡単に見つけられるLSを逃さないというのがあります。あるDRに一点集中してて失敗したけど実は別のDRを探せばすぐに良いLSを引けた…みたいなことも避けられます。先程の深い探索に関してもそうでしたが、HTR探索は狭く深くよりも浅く広くの精神で網羅的に探索したほうが安定して良い手数が出ると思っています。

 

心構え

残り5分だけどスライスインサートしなきゃいけない!とか、残り3分だけどなんか回答が揃わない!、みたいなことはFMCerの皆さんなら経験があると思います。大会でこれが起こると心臓がいくつあっても足りません。

こういう時、自分がまず始めに行うのは深呼吸です。残り時間が少ないのに頭がパニックになってしまうと次に何やっていいかわからなくなってしまうので、まずは深呼吸して心を整えてから冷静に現状を整理するのが重要です。

また、残り時間が迫っててパニックになっている時ほどスクランブルミスが多発します。焦ってるからですね。時間がないのにスクランブルミスするとさらに時間がなくなって良くないので、そういう時ほど慎重に丁寧にスクランブルしましょう。冷静さが大事です。

 

終わりに

自分のFMCの現状の取り組み方について色々まとめてみました。

参考にできる部分は参考にしてみて、自分なりのスタイルを確立していただけたらと思います。

 

それでは。